オープン・テック・ハウス前橋 
 I邸
 群馬県前橋市

“民家風”ではない現代民家
前橋の市根井さん県産材使い建築
ぐんま経済新聞 2003 年 5 月 15 日 より

 前橋の大工、市根井立志さん(同市文京区 2-7-11 : tel027-224-4448 )は、林業家や建築家と協力。新しいアイデアを盛り込んだ“現代民家”の自邸を建築している。地元材を使い、柱や梁を表す民家構法を採用しながら、民家のイメージを打ち破る仕掛けがいっぱい。「既成概念にとらわれない、こんな家づくりの形も知ってほしい」と話している。
 設計者は建築家で早稲田大学教授の石山修武氏。同氏が提唱、家づくりの技術や価格をインターネットで公開する「オープン・テック・ハウス」の一環として建設中。市根井さんは、「早稲田バウハウススクール A3 ワークショップ」に学び、石山氏の自邸「世田谷村」などの施工も手がけた。
 市根井邸の特徴は、地元材を使った構造と、外部に開かれた空間づくり。構造材は柱に12センチ(4寸)角のスギ、梁・けたにも18〜24センチのスギを使用。いずれも桐生市の林業家に依頼、立ち木の段階で木を指定、伐採後葉枯らし乾燥したもの。伝統的な長い継ぎ手に合わせた、特注サイズの丸太も出荷してもらった。  南側正面と東側の外壁は、構造をそのまま見える形で残す。所々に目隠しのスギ板をはめ込む。家の中にはたたきの土間と大きな吹き抜けがあり、建具の開閉によってさまざまな空間をつくりだす。屋根は平らな鋼板で、屋上はすのこを敷きつめたウッドデッキ。雨音をやわらげるとともに断熱効果もねらう。延べ床面積は 112 平方メートル(土間含む)。
 内部は吹き抜け周辺が構造を表す真壁づくりで、しっくいや土の塗り壁とする予定だが、その他はベニヤ板に柿渋を塗って仕上げた大壁構造も取り入れ、コスト削減をはかる。断熱材はペットボトルの再生品。「昔のやり方にこだわらす、新しいものでもいいものは取り入れたい」と市根井さん。
 昨年12月に基礎工事を着工、今年3月が上棟。本業の合間を縫って建築しているためどうしても工期は延びがちで、秋口が完成目標だ。
 市根井さんは約 15 年前、 24歳 で大工の道に入った。当初はログハウスやツーバイフォー住宅専門。それぞれの良さはあったが「木組みを本格的にやってみたい」との気持ちが強まり、近年は民家型住宅にシフトしてきた。
 しかし、民家型も技術を形にする面白さはあったものの、「できあがったものが皆、のれんを付けたら蕎麦屋風」になることが飽き足らなかった。構造がそのまま仕上げになる自邸は、「上棟時の家が一番好き」という市根井さんにとって気持ちのいい空間になりそうだ。





03 年 3 月上棟式



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