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[0517] 明治通りの再生プロジェクト

明治通りの再生プロジェクト

 大学キャンパス(理工学部)前、明治通りの空きビルをコンバージョン(用途転用)できないかと取組み始めて久しい。研究室メンバーは時々新たな空室が出たか、どうかの調査を続けていた。
 今度、ミサワホームと共同で取組もうとしているのこの物件は、実ワ、五年前のプロジェクト開始時に目星をつけたオフィスビルであった。大きくて立派なビルだ。もう少し小さな物件から始めた方がスムースにプロジェクトが動き始めるかと考えたが、これが仲々に厄介だった。小さな物件(建物)程、権利関係その他が複雑なのだ。四苦八苦、四転八倒の末に振り出しに戻った。
 このプロジェクトは研究室だけでやってもそれ程の意味はない。様々な調整、構造の新規準への対応等はその径の専門家達と力を合わせた方が合理的である。
 担当は拠点都市再生を研究テーマにしている野村悦子に任せる事にした。まあ、これからどんな展開なるか予断は許されぬが、楽しみな事ではある。
 立派なオフィスビルだった建物に学生達が棲み暮らすようになったら、どんなに街は変わるだろうか。先ず都心の夜に学生達の生活の拠点ができる。彼等は消費の達人であるから周辺の町や商店街は少しは潤おうだろう。学生は年々歳々入れ変り、集まり散じるから、町にとっては年を取らぬ人種が常に居住する事になる。高齢社会都市の中に突如青少年都市が出現するようなものだ。

 都営地下鉄十三号線ができるとここは益々都心での足の便に恵まれる。早稲田の学生ばかりでなく、都心の大学の学生達にとっても格好の棲家になる筈だ。又、家賃も非常に合理的なものになるだろうから、東京の学生諸君はこのプロジェクトに留意して、家賃の設定に注目しておいて欲しい。
 価格破壊とは言えなくとも、成程ネ、と納得してもらえるようする努力だけはする積もりだから。
 進行状況は時折ここに報告する予定だ。
 石山 修武

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