週刊建築アーカイブ 週刊建築アーカイブズ 週刊建築
010
銀河鉄道計画 -1

「銀河鉄道計画」と名付ける、現実と廃墟の狭間をゆくプロジェクト群をしばし走らせてみる。ゆっくり、ゆっくり走らせて、フワリと車輌が空に浮くか、都市の闇の中に沈んでゆくか、行方は定かではない。(銀河鉄道計画


ドローイング:渡邉麻衣

全てが緊密な相関性を持ち、その相関性がいかにそれぞれに意識されているかといういわばデザインの問題として浮かび上がってくる事が大事なような気がする。つまりその相関性が人間にいかに知覚されるかという事である。眼が美しいと感じるのも大事だが、知覚が直接にその相関性を捉えられるようなモノのあり様である。(銀河鉄道計画2


 銀河鉄道計画は幾つもの場所で展開中の建築プロジェクトである。実際にはそれぞれの場所で違った機能を持つ別々の建築であるが、そこに共通にあるイメージが銀河鉄道計画という全体の構想を持っている。そしてこの構想こそがここでの最も重要な建築の仕事である。
 建築というものは本来、少なくとももの自体に接することが情報を受け取る有効な手段であった場合、その形がそこに表現される意味を伝える媒体の役割を持つ。しかし情報伝達手段が様々に発達すれば、その意味を受け取るために必ずしも形に触れるということを必要としない。テキストが意味を伝え、映像がイメージを伝え、つまり媒体は表現されるべきことを情報的に伝えるようになる。
 情報化とはつまり情報がメディアの根幹であるということであり、それゆえ形を持ったものでさえ情報化されて流通し、その形よりも個々が受け取るイメージこそがむしろ現実的な実体となる。
 そこでの建築デザインの表現が形を作る以上に何かを作り出さなくてはならないのは当然となり、では何をどうあらわすことが出来るのか、これはもう一つ次の段階の建築像を作り出せるかどうかの実験だ。
 この計画が視えぬ建築を創り出すのか、距離のない空間を創り出すのか、メディアの建築というものになるか。
 丹羽太一

建築の仕事
インデックス
ホーム