第二便
日本生活学会は一九七三年に今和次郎によって創設されました。その町づくり部 会は一九九一年発足。何回かの研究会の開催と共に小冊子を四冊刊行しました。
・宿根木物語 新潟県佐渡島小木町宿根木 真島俊一
・淡路瓦物話 兵庫県淡路島西淡町 山田脩二
・大内宿場物語 福島県南会津大内 相沢韶男
・谷根千物語 東京谷中,根津,千駄木 森まゆみ
これからも広く町へ開かれた研究会は統けてゆきます。そのまとめの小冊子刊行 も続けます。しかし、本来生活学とは何かの実践が伴って初めて成立する総合的 な視野そのものであるようにも思います。学の為の学から一歩踏み出すことでは ないかと考えました。それが町づくり支援センター発足の動機の一つです。勿論、 そればかりではありませんが。
支援センターの目的は名の通り、日本各地の町づくり運動の応援です。ここで言
う町づくりは専門分化して日常生活との関係を失っているいろんな力の総合運動
だと、とりあえず言っておきます。
今、志を述べたい気持ちは多々ありますが、どうも理念だけが先立つ運動は永続
きしそうにありません。言挙げする機会はこれから先いくらでもありましょうか
ら、追々それはキチンと申し上げたいと思います。
失札と余計なお世話をかえり見ず、この便りは一方的に送っています。読んで下
されば、そして、ヘェッと思って下されば、それもすでに何処かの町づくりを応
援しているのだと考えて下さい。送る私たちはそれ位の気持ちですから。勿論、
何かを買って下されば、より嬉しい。それはすでに何処かの町の力になっている
ことでもあります。
再び言いますが、支援センターは利益を迫います。その利益の第一はここで扱う
商品を生み出している現場の人々の利益。次に、それを買い求めて下さる皆さん
の生活の利益。おわりに、その両者を直接関係付けたいと考えて動く私たちの利
益です。それは御理解下さい。
さて、今月新しくお届けしたい商品は、青森県下北郡佐井村と宮城県仙台市から です。両方ともに仙台市の結城登美雄さんの尽力で皆さんに御紹介できることに なりました。
先月、御案内した西伊豆松崎町のオリーブ茶。冷やして飲んで、ゴクリとノドを
鳴らす今を忘れては困ります。
残暑です。「桶長さん」のさわら桶で背中の汗を流して、ひば石鹸、ひばシャン
プーのキリリとした効用を楽しみ、湯上がりにオリーブ茶を召し上がれば、イヤ
な事は皆、忘れます。必ず。
一九九四年 晩夏 町づくり支援センター 石山修武