世田谷村第II期 "0" シェルター計画
世田谷村第 II 期工事 現場メモ '04/6/2
・ 階段

drawing踏み面エッジ
 世田谷村に書庫、クライアントとの打合わせルーム、工房を増築する計画である。宙に浮かんだ世田谷村と地下工房との間に、鉄だけの建築を設計する。私の担当の階段も必然的に「鉄」となる。
 極力、現場にある材料を用いて構成する。壁に使われるデッキプレートの山の横に、4.5mm厚と9mm厚、75mm幅のスチールフラットバーが転がっている。職人に尋ねると、工場にいくつか在庫があるそうだ。これを踏み面、ささら桁、手摺にデザインしよう。
 踏み面は4.5mm厚、幅600mm、奥行き220mm。薄い鉄板のハードエッジな踏み面になるだろう。踏み面の受けには9mm厚、75mmフラットバーを三角形に切り刻み、ささら桁に溶接する。無駄な破材は出さない様にしなければならない。そして、ささら桁、手摺は9mm厚75mm幅で両端の接合部分以外は加工しない。  手摺には、横揺れ防止のために、12φの鉄筋を9mmの鉄板に貫通させている。踏み面の裏面から鉄筋がささら桁に接して、回り込み、そのまま、手摺を貫いている。職人によって研摩され、その接合部は美しく1つになっている。
 踏み面の数カ所に、3mmから8mm程度の小さな穴をランダムに開けた。南側のスリットから建築内に入り込んだ光は、4.5mm鉄板に濾過されて、地下へと注がれる。
 この階段が初めての実物設計であった。
石井孝幸

手摺り詳細1階を見上げる
世田谷村第 II 期計画
 屋上作業小屋、地下エントランス、及び地下階便所シャワー宿泊棟工事。第二期工事は造園、小屋作りのカテゴリーへと建築の考えを拡張してゆこうとするものだ。世田谷村には小さいながらも二つの庭がある。屋上菜園のある空の庭と地上階の旧来の庭である。
 毎朝屋上菜園に上っている内に、どうしても屋上で休息する必要を感じてきた。それに三階の東の部屋は断熱材としての土で覆われていないので居住状況が悪い。東側のガラス壁にソーラーバッテリを装着する作業よりも、むしろ屋上の外断熱を行う作業を第一にした方が良いと判断した。それならば屋上に小屋を乗せてしまうのが一番である。小屋自体を三Fの断熱装置として考えられるし、それに屋上の小屋は生活を楽しむのにも役立ちそうだ。屋上の菜園とうまく関係するような小屋を考えてみることにする。太陽光発電の装置は必須だろう。菜園遊びの道具の収納の役割も果すものでありたい。時にはプノンペンのひろしまハウスでのように蚊屋を吊って夜半眠るのも良いだろう。生活のスタイルがそのまま素直に表われているモノでありたい。私にとって世田谷村での生活で今のところ最も独自な価値を持ちそうなのは屋上菜園である。屋根の上で植物の世話をするのがこれ程面白いとは考えていなかった。それに周囲の人達から観られているという感覚も不思議な効用を私に及ぼし始めている。私の屋上菜園はまことに見晴しに恵まれている。晴れた日には東のマンションとマンションの狭間に東京タワーが見えるし、西の酒屋が建てたマンションに半ばさえぎられながらも富士山丹沢の山々も遠望できる。見晴しが良いという事はそのまま、良くみられるという事でもある。恐らく屋上菜園に上って何かしている私の姿は周辺の人々の注視の的でもあるだろう。間近の家々は勿論、東の高層マンションのほとんど全戸に生活する人々にとって、屋上の私は不可思議な家の変な道化者のように眼に写っているにちがいないのだ。それをもう少しデフォルメし、かつ洗練もする事はできないのだろうか。
石山修武
オープン・テック・ハウス #1  世田谷村
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