制作ノート 2
石山修武
ミーティング 003
 鬼沼計画
 開放系技術自主独学スクール
 ・・・生活の場から自給自足の生活まで、自分でつくる開放系技術の実践の場
道をつくる
小屋をつくる
竈をつくる
水をつくる
エネルギーをつくる
土をつくる
 インフラストラクチャー
 道路計画・居住計画            居住施設
 上中下水道                給水塔・下水利用施設
 電気 自然エネルギー利用         発電施設 太陽光・風力
 交通手段                 電気自動車・電動カート・軌道施設・関連施設
 情報                   通信施設 光ファイバー網

 開放系技術自主独学スクール参加募集

 鬼沼計画プログラム・1 アジア農林・工芸村(仮)
  ・・・地方で暮らす定年退職者・フリーターのための自給生活の場づくり
田畑をつくる
仕事をつくる
村をつくる
 自給の産業
 農林水産業               ファーム・エリア
  農園・農場
  果樹園                 体験農場
 手工業                 ファクトリー・エリア
  織り・染め物              染織工房
  和紙                  製紙工房
  オリジナル日用品・家具         大工工房
  絵画・写真・彫刻            芸術工房
  アジアの手工業             工芸工房
 サービス産業              レクリエーション・エリア
  教育 シルバースクール         教育施設
  観光 地域に提供するサービス・製品   直販所・レストラン・宿泊施設
  健康 農村生活体験           遊歩道の整備
  食                   自然食・健康食
  医療 東洋医学を取り入れた予防医療
  介護 要介護支援者の地域訪問介護    介護派遣事業・デイケア施設
  環境                  森林・水
  趣味
 011
 伊豆松崎町依田之庄大沢温泉ホテルには今和次郎の手も入っているというのは先代依田敬一氏からも聞いた事がある。入り口の築三〇〇年になる母屋を抜けた、中庭のコリドール部分に貼り込んである陶器タイルの断片などがそうらしい。吉阪隆正や門下生である象の連中が踏襲しているやり方である。先年より依田博之氏、敬一夫人の依頼で少しずつ大沢温泉ホテルに手を入れる事になった。今は大浴場の外テラスに次いで小さな温泉小屋をデザインしている。大沢温泉ホテルにとって大事なプロジェクトである。人々の観光スタイル、余暇の過ごし方が変化しているので、高級な和風ホテルも対応が大変だ。温泉小屋に関しては追い追い述べる事にして、依田さんには名門大沢温泉の次世代への静かな変化を世に示す、アドバタイジングを含めて提案したいと考えた。そこに来年正月にオープンする温泉小屋と共に、ギャラリーの開設を同時にすすめる事を提案するのを考えている。今の蔵の間の隣に歴代依田家の展示室があるが、そこに、小さなギャラリーを開設し、同時に大きな日本庭園の一角に竹の小ギャラリーを開設するのを計画している。
 010 開放系技術篇
 プノンペン、ひろしまハウスを拠点にする、モバイル・ひろしまハウスのアイデア。
 ひろしまハウスの一階作業場ではFFCによる、地雷で手足を失ってしまった人々のための手こぎ三輪車を作り続けてきた。これはカンボジアの人々にも大変、認められた仕事であった。この仕事は何等かの形で引継がれるのが大事だ。それで、一階に収納できて、必要に応じプノンペン市へ、農村地帯へと自由に動き廻る事が可能なハウスを考えた。ひろしまハウス同様に何にでも使える。回診病院として、図書館として、展示場として、スクールとして、特にカンボジアの子供達に衛生、エイズ教育ができるように考えている。中国上海のコンテナ工場に発注するのを計画している。
モバイル・ひろしまハウス
モバイル・ひろしまハウス
モバイル・ひろしまハウス
渡辺大志 制作ノート005
鬼沼
近代能楽劇場in制作ノート5

T様
 鬼沼前進基地の次のステップを考えています。現場に転がされているコルゲートパイプを森の声を聞く為の大きな集音装置としてはどうでしょうか。スケッチの様な音を集める為のホーンになる様なものがアジアの工芸品にありませんか。イスラムの方にも大きなホーン状のものがあると聞いています。大きいものがあれば良いですが、見つからなければ最初は竹筒で作ってはどうかと思います。冬に現場に伺った時に施工したいと考えております。

 009 開放系技術篇
 鬼沼計画前進基地の次のステップはマスタープラン作り(GAギャラリー出展 2006)とエネルギー、水、汚水処理の初期的アイディア作りだ。取水に関してサイト内には四つの川があるが、小さなダムや池を作るのは第二段階として先ずは前進基地に充分な水を得なくてはならない。今の貯水方法ではあまりにも土木的方法に過ぎるので、それはそれとして補足的システムが必要だ。ヨハネスから面白いアイディアが出された。ドイツでは環境への配慮への教育が進んでいるようで、むしろ日本的とも思はれるソフトな考え方が自然に現れてくるようだ。
 森の中に大きなシートで池を作り、それを前進基地に引き込もうというものだ。天水受けだけでは覚つかぬから、流水をためる方法とMIXさせるとリアリティがあるだろう。世田谷村の三階デッキでは小じんまりと同様なアイディアを実験中で、これはデッキでの植栽にしか使えぬが、鬼沼では少し大がかりに試してみる。
 年内に第二回の鬼沼スクールを開催するので、自然エネルギー利用の巡環型ライフシステムに関心のある方は参加してもらいたい。年令、性別、国籍、転業不問である。第一回の身内でのスクールの成果は、栗炊き込みご飯と、いくつかの禁止コードの必要性であった。
 現在のガソリンエンジンでの発電システムは音がうるさくて、どうしようも無かった。これは当分は必要だが、いずれ緊急用としなくてはならない。
 ペットボトルに関しても、持ちこみ禁止としたい。余りにも重大なゴミであり過ぎる。カンビールもアルミカンの処理が今のところ不可能で、いずれ禁止にしたいが、ビールくらいは飲みたいの気持ちをコントロールすべきかどうか・・・疑問ではある。
ミーティング 002
 鬼沼計画

 開放系技術自主独学スクール
 開放系技術の実践の場・体験希望者へ
福島・猪苗代鬼沼に広大な山林を持つTさんは
なんの整備もされていないその敷地に
自分でコンテナを積み上げて前進基地をつくりました。
工業用コルゲートパイプで倉庫やタンクをつくり
今、ブルドーザーで道をつくっています。
今度は風力発電機を建て、上中水道設備をつくり
ゴミ処理設備をつくり、田畑や農場をつくり、
将来、日本・アジアの工芸品や紙や織物をつくる工房を開き、
小さくともその地に根付くことができるような仕事をいくつか
つくっていきたいと考えています。
その作業を月に何回か、前進基地で寝泊まりして
薪を拾ってそこにつくった竈で飯を炊きながら進め、
「自分でつくる」ということを楽しんでおられます。
つまり開放系技術の先端的実践です。

Tさんがここでやっていることは沢山ありますが
そのうち一つでも「自分もやってみたい」ことがある方は
一度、一緒に手伝いにきてみてください。

興味のある方、ishiyamalab@ishiyama.arch.waseda.ac.jp まで御連絡下さい。

 鬼沼前進基地
Kai Beck

Johannes Kettler
The circulation of life has got a close relationship to the circulation of elements. In that way the "water tent" may function as the symbolic catalyst of oninuma community. Once this ambiguous element is integrated into the natural cycle, it will flow endlessly in an infinite loop of life...

Johannes

"That there, that's not me - I go where I please - I walk through walls - I float down the Liffey" Radiohead, "How To Disappear Completely" from album Kid A

watertent
 008
 広島の木本一之君から「ひろしまハウス」に関してアイディアが寄せられた。ひろしまの原爆ドームをカンボジアに移送するというアイデアだ。原爆ドームのプランとひろしまハウス・カンボジアのプランを初めて重ねて知る事ができた。二階の広間には難しそうだが、屋上階に実現できそうで、屋上階に作成するプランをお願いしたい。その際、屋上階には木本君のオリジナルなオブジェクトも是非セットしたい。お金は又、集めなくてはならぬが、なんとかなるだろう。
 ひろしまハウスは一階部分の若干の問題が解決できそうで、屋上階が充実すれば仲々のものになるだろう。
 特別なベルを(風鐘)を今度乗せる屋根に設けるのも良いのではないか。これも木本君の手を借りたい。
木本一之
 007 開放系技術篇
 鬼沼の倉庫二棟は廃材や廃品を組み合わせて、オーナーTさんが自分で考えて、自分で作った。作業は地元の工務店が手空きの時にバタバタとやった。いかにもバタバタ状のバラックである。何処にも美しさを見る事はできない。昔「バラック浄土」という本を著した。ある種のバラック状態のアナーキーな自由開放を良しとしたものだった。Tさんのバラックにはそのような自由開放系状態はない。しかし、私も色々と知恵を出した末の事なのである。
 オウム真理教サティアンみたいな鬼沼第一倉庫の下に竃が作ってある。Tさんが社員に作らせようとして駄目で、結局何から何まで自分で作ってしまった竃である。そこらの堀りくり返した土地から出た山石の手頃なものを積み重ねて、すき間にセメントが塗り込まれている。九〇センチの巾、奥行き内径で五〇センチメーター、高さが四十五センチメーター位のものだ。その上に、十五×五センチのCチャンネルの軽量鉄骨の端材が無造作に置かれているだけのものだ。その場当たりの、そこらの物品で作ってしまうTさんの真骨頂が表われている。
 伊豆韮山の江川太郎左衛門の屋敷の、高名な土間にも竃がある。その竃の風格とは似ても似つかぬものである。竃の源流らしき韓国の農家のモノとも全く違う世界の産物だ。当然、Tさんは自分の竃を作るのに、取り敢えずのものだからばたばたと取り敢えず作ってしまえと考えたに違いない。日曜大工感覚である。それはそれで大いに良い。しかし、圧倒的に何かが欠けてもいる。バタバタでもドカドカでも、つくられた“もの”には何処かにその人らしさが表現されてしまうものだ。小むづかしく言えば、身体の延長としてモノは作られるからだ。手書きの字の個性はその最たるものであろう。クロード・レヴィ=ストロースが「悲しき熱帯」で述べているような、未開人の手づくりによる宇宙は勿論無い。何故ならTさんは未開人の持たざるを得なかったコスモロジーを持たぬから。それでは、このデザインは何なのだろうか。作られたモノには必ず由縁がある。考えてみよう。



 006
KAI, your sketch gave me an interesting impression. Your feeling about materials is a little different from mine.
You think material can be bended and extended by force. I thought it's better to use natural condition in the field sense. I say "field sense", it's very near concept of space/space has only two models. One is an existent space. That is a nature and a history. Another is a manmade space. One of my belief is, the meaning of design is a method of mixing two types of spaces.
I am sending you my idea about your sketch.
渡辺大志 制作ノート004
ひろしまハウス
近代能楽劇場in制作ノート4

 ひろしまハウスの屋根のデザインは空に向かって開口がある様にした。確かに雨季は大変だろうが、大変な時は屋根に登らなければ良い。晴れて気持ちのいい風がある日には空飛ぶ仏足の上で寝転がってボーっとすれば良い。
 仏足の角度に合わせて斜めに立ち上がった柱が屋根を支えている。出来上がってみれば、生活も建築もカンボジア式でなかなか良いものになったのではないだろうか。

制作ノート 3 制作ノート 1
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