岡倉天心 弁事堂修復勧進プロジェクト

世田谷村スタジオGAYA

VADODARA DESIGN ACADEMY

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岡倉天心 弁事堂修復のためのご寄付のお願い

奈良県宇陀市の大蔵寺に、岡倉天心が寄進した小堂「弁事堂」があります。
四畳半、宝形茅葺屋根の小さなこの建築は明治41年(1908)に建立されました。岡倉天心が日本美術院を茨城県五浦に移した際に岩壁に建てられた 「六角堂」(観瀾亭)が2011年3月11日の東日本大震災の大津波によって一度は消失した今となっては、奈良の「弁事堂」は現存ずる唯一の 創建当初の姿を残す岡倉天心の建築となっています。ただしそれ故、建立から100年以上経った今、お堂の修復が必要となっています。
岡倉天心に所縁のある人々によって結成された「鵬の会」は、その「弁事堂」の修復(屋根および土台部分等)を現在企画しており、「鵬の会」のメンバーである六角鬼丈氏(東京芸術大学名誉教授)よりこの修復事業のお話を頂き、この場において広く呼び掛けをしております。
岡倉天心については、天心自身の多彩な活動と思想拡がり故、現在においても定まった評価がなされているとは言えませんが、とは言え、日本「美術」の礎を築き、また日本とインド、およびアジア全体における思想的な共同の径を大きく描いてみせたその活動の内実については、より深く学ぶべきと感じています。
以下、鵬の会からの趣旨文を掲載いたします。
ご連絡をお待ち申し上げております。

2015年11月4日 
佐藤研吾
(Assistant Professor, Vadodara Design Academy)



岡倉天心ゆかりの文化財・弁事堂の修復にご協力を!

私たちは、岡倉天心が残した貴重な文化財、奈良県大蔵寺弁事堂の修復のために皆様からのご浄財を募っています。

岡倉天心(本名覚三1863-1913)
幕末の文久2年に生まれた明治の巨星・岡倉天心は、日本美術の復興と革新に大きな功績を残した人物です。天心が創設した日本美術院は横山大観、菱田春草、下村観山、六角紫水をはじめとする近代日本美術の大家を輩出しました。幼少期から英語を習得していた天心は、『茶の本』などの英文著述によって日本文化を世界に向けて発信したことでも有名です。在家仏教徒であった天心は真言宗の僧侶丸山貫長に師事し、その仏教復興運動を支援すると同時に、晩年まで古社寺保存に熱意を持って取り組みました。

「元高野」に佇む天心ゆかりの弁事堂
奈良県宇陀市の大蔵寺は、弘法大師が高野山開山以前に真言宗の道場としていたことから「元高野」と呼ばれ、由緒ある古刹として知られています。明治41年、岡倉天心は丸山貫長が住職を務めるこのお寺に弁事堂という小さなお堂を寄進しました。風情あるこのお堂には現在、子授千体地蔵(昭和28年奈良県文化財に指定)が祀られています。周囲の自然にとけ込んだお堂の美しい佇まいは、大蔵寺を訪れた白洲正子を魅了し、彼女の代表作『かくれ里』でも紹介されました。弁事堂は創建当時の姿で現存する唯一の天心ゆかりの建造物であり、天心の仏道への思いを体現した大切な宝です。

弁事堂屋根修復に皆様のご協力を!
現在、弁事堂は老朽化が激しく、とりわけ茅葺き屋根は緊急の修復を必要としています。私たちは岡倉天心生誕150周年記念事業として屋根の修復を企画し、平成25年6月より第一期の募金活動を行い、皆様からおよそ200万円のご浄財をいただきました。そしてこのたび、修復費用の概算350万円という目標額に向けて第二期の募金活動を開始いたしました。弁事堂の救済に皆様からのご理解とご寄付をお願い申し上げます。修復完了の暁には、ご寄付くださった方々のご芳名を刻んで弁事堂の屋根裏に奉納させていただきます。お申込み方法については裏面をご覧ください。

弁事堂の実測が行われました
修復に向けて弁事堂の建築図面を作成すべく、建築家六角鬼丈氏と東京藝術大学・保存修復建造物研究室の長尾充氏のご指導のもと平成26年9月に実測が行われました。作業に当たられた一人、小林直弘氏の言葉です。「9月6日に大蔵寺ご住職の協力のもと、調査を実施しました。現地では、建物の規模や構造を知るための調査に加え、破損状況の確認や建設当時の姿を類推する調査も実施しました。屋根部分には破損が見られますが、軸部(骨組)には多少の歪みは見られるものの大きな破損がなく、安堵いたしました。今後は調査成果を整理し、修理設計の基礎資料をつくってまいります。」

岡倉天心の精神を伝える貴重な文化財を後世に残すため、皆様からのご寄付を心よりお願い申し上げます。

平成26年10月吉日
弁事堂修復「鵬の会」 代表 岡倉登志

発起人
池田久代(皇學館大学教授)
岡倉登志(岡倉天心曾孫、大東文化大学名誉教授)
岡本佳子(国際基督教大学アジア文化研究所研究員)
河合力(寛方・タゴール会事務局長)
川嶌一穂(大阪芸術大学短期大学部教授)
塩出明彦(日本美術院同人・故塩出英雄長男、寛方・タゴール会副会長)
宮瀧交二(大東文化大学教授)
六角鬼丈(東京藝術大学名誉教授、北京中央美術学院教授)

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