2016年2月1日より世田谷村第四期工事の現場が始まりました。
朝から職人さんが入り、浴槽の解体から作業を始めています。下北半島から特別に送られた青森ヒバで作られた浴槽は、10年以上経った今でも解体した断面から良い香りがします。しかもそれぞれが中々手に入らない大分な厚みを持ったしっかりした材料です。
そのため、世田谷村の第1期工事で建設に用いられた浴槽の材料の一部は第四期工事で新たに作る手すりや、このドアハンドルにも再生させたいと思っています。
このような考えは、その根幹は世田谷村の開放系技術の構想に基づくものですが、実際の現場で眼の前にした材料から改めて自覚を促されるものでもありました。
加えて、地元を拠点とする木材流通加工業の仲間から
も流木を用いる提案がなされ、今日その実物を現場に持ってきてもらいました。
このドアハンドルの屋外側はこれをそのまま使うことにすぐに決定しました。
世田谷村第四期工事に関して縷々ここに示そうとしていることは、従来の建築市場のみならず他領域の市場の技術や商品を用いることは当然のことながら、インターネットも含めて現在の地球上のあらゆる市場に意識を張り巡らし、そこに大量生産された商品が漂流され続けることで世界が成立している現実を、別の体系に読み替えることで得られる豊かさと自由です。
このような言い方をすると持って回った言い方に聞こえますが、昔の人々はこれを同じことを海から流れてきた漂流物に感得し、そしてときにそれらを使って道具や家を作ったりもしたのです。
その意味で、世田谷村の玄関に流木を出来るだけそのままの形ではめ込んでドアハンドルとすることは、その他の既製品を流通の海から拾い集めてくることと全く変わりはないのです。
今日は、そのようなことを現場から出た具体的な材料から改めて言い聞かされたのでした。
2016年2月1日 渡邊大志
ドアハンドルに限らず、手に触れる部分のデザインには原寸のモックアップを作ることを心掛けています。スケールの異なるスケッチやCADの線だけではどうしても身体の曲線が作り出す融通無碍な立体的な動きをとらまえきれないからです。
実際に模型を作ってみると、スケッチの時点よりもはるかに立体的な造形になりました。
このデザインのポイントは、最初のスケッチで記した、ある純粋な球体の塊が割れるという原則を最後までどうにかして残すことと、その反面で模型写真にあるような人間の手が握って引くという力の流れがそのままダイレクトに物として結実すること、の二点にあります。
結果として、扉の手前の引くドアハンドルは有機的な造形を、扉の裏側の押すドアハンドルは球体の半分がそのまま残ったシンプルな造形をしています。
手前のハンドルには流木の自由な形状を活かして、それにささやかな加工を施して作ります。
また、ビスなどの金属を用いずに木組みで固定する方法も考えてあります。
1分の1スケールの模型作りでは、材料を特定し、それを使った独特な作り方(建築で言えば施工の仕方)がそのまま機能を満たした立体物として現れることが自らの身体で体感できます。
本来は、原寸模型を作るように、自分で体感したことがそのまま物に変わっていくことを連続していけば住宅の大きさくらいの物までは手作りでできるのだと思います。
2016年1月22日 渡邊大志
ドアハンドルを考える上でもっとも重要なことの一つは、人間が直接触れるということです。
そこで、このスケッチの段階で、前のスケッチから一気にヒューマンスケールに、すなわち原寸に落とし込むことを意識しています。そのためにスケッチをしながら以下の3つのメモを書いています。
1.人間の手の形状、人間の腕の動き、人間の動作を形にしていく方法、ヒューマニティ
2..それだけではない、入り口(ゲート)というものに対する崇高性、<在るモノ・自然>を<開く・人工>の力の表現?
3.立体とは?立体を作り出すモノそのものの状態を呈示する、光、人間、材料tc…
スケッチをしながら書き留めたキーワードは熟考して選ばれた言葉ではないので、こうして書き出してみると怪しい部分が多分にありますが、その分、考えている最中の生々しさがあると思います。デザインにとってその生々しさが重要ではないかと感じてもいます。
1に書いたことは具体的にはハンドルの形状に端的に表現されますが、それだけを考えると前回のスケッチとの断絶を恐れます。そこで、2が必要となります。そして、原寸で考える面白さは具体的な材料を想定して、質感や、今回であればどのような木の目が見えてくるだろうかということを想像しながらスケッチをし、3に記したように、そのことがドアハンドル自体よりもむしろその前のスペースにどのようにして立体的な空間を作るのかを同時に想像していきます。
ドアハンドルで面白いことは、それが動く扉に設置されるということです。
つまり、ドアハンドルは人間の手に直接触れるものであり、かつ、扉が開く動きと伴って、その前後に人間の動きと一体となった空間を作り出すものです。そのため、扉を開くときにだけ生まれる空間をできるだけ立体的なものとすることが、最終的な目的と結論づけました。
そして、2に記したように、たとえそれが住宅の玄関扉であったとしても、古代の人々が「戸」という境界の両側を接続する稼働装置に視ようとしてように、ここにもある種の神話性が潜んでいることを忘れないようにしたいと考えています。
2016年1月14日 渡邊大志
既に一部をお知らせしているように、世田谷村第四期工事の大半は既製品の組み合わせで考案されています。その中で、唯一玄関扉に付けるドアハンドルと玄関灯は木製のオリジナルハンドルにしようとデザインしているところです。
ここに掲載するスケッチは、これまでの自分の体験の中でも大切にしなければならいと考えてきたこと、そしてこれからも長く考えていきたいと思っていることと、どのようにしたら結びつけて考えることができるのだろうかと、それを自分に投げかけようとしたものです。以降数回をかけて、少しばかりこのことについて述べていきたいと思います。
スケッチにはインド・ラダック地方にあるアルチ村で体験し、現地で模型も製作したけれど、当時の私の器では受け止めきれなかった何がしかのものをそのまま捨ててしまいたくないという気持ちが赤裸々に露出してしまっています。さらに言えば、その体験と先日中央アジアのサマルカンドやヒヴァで体験したことを同値のものと捉えて、何か一つの小さな具体物のデザインに落とし込みたいと考えています。
スケッチに付されている言葉は考え抜かれたものとは自分でも思えないし、スケッチを言葉で表現できていないことへの不満足があります。このことは頭で構想することの不十分さを物語っていると言えるでしょう。
しかしながら少なくとも、アルチ村で満天の星空の下に一定の領域をもって感得された風景(宇宙)そのものが人間と自然の歴史によって構築された建築であった、というイメージと、数多くのストゥーパがその領域を形作る媒介でありつつ、その内部を割って見ればより濃密な宇宙を内包していると考えようとした想像力を、一つのドアハンドルの原寸のアイディアに重ねてみたいと考えました。
割れるストゥーパと重ねて描いたのは、木でできた純粋な球体の塊が既存の木製扉にぶつかっている状態から始まり、それが扉の表裏に割れてその中から光やら何やらが生まれ、半分はその半球状の形態がそれらによって歪められていくまでの様子です。
このようなことを考えることの必然性は、正直まだ上手くお伝えすることができません。ただ、自分がなしたスケッチを後から見返してみると、ドアハンドルは建築の中で直接人間が掌のうちに、それこそ人間の身体の中の宇宙に包み込まれる数少ない部分であると考えてみるアイデアもあるのではないかと思います。
2016年1月12日 渡邊大志
1970年代に提唱された剣持昤の「規格構成材理論」は部品メーカーの成熟がゼネコン、工務店を不要のものとするだろう、の予言でもありました。そこには末端消費者である住宅の建主がメーカーから各住宅部品を直接購入し、各工種の職人と直接契約することで、住宅の値段を丸裸にするオープンシステムの素地が示されていました。
図に示したのは、世田谷村第四期工事の工事指示概要図と使用部品リストの一部です。部品リストにある部品群は主に建築以外の分野でそれぞれの機能に特化した分野で開発されたものばかりです。例えば、防水塗料は上水道の貯水タンクに用いる防水塗料を探し出しました。建築用防水よりもはるかに性能が良く、しかも建築用部品ではないため、建築業界で既成に作り上げられた流通ルートを躱(かわ)して直接購入することが可能です。この躱し方がミソです。
これらの部品群は、主にインターネットで予備検索をして当たりを付けた後、個別に電話連絡などをしてメーカーに行き着いた上で、最後は直接メーカーの人に会って実物と性能の確認をして集めました。
インターネットの通信技術は剣持の時代にはなかった技術です。特にその検索能力を末端消費者が手に入れたことは、個別の流通ルートのセルフビルドを「規格構成材理論」に付加しました。これによって、私たちは建築分野に限らない材料を手にいれる独自の流通ルートを設計できるようになったのです。
つまり、防水塗料の例にもあるように、グーグル検索の枠に入力する最初のキーワードを何にするのか、の点に根本的なオリジナリティらしきものが表現されています。検索には文字検索と画像検索、そして何語で検索するのかの些細な工夫が必要です。
図に示されているのは、こうして現れた多市場のブリコラージュによる部品群がアッセンブルされた風景です。そして、そのインフラはインターネットによる検索機能における些細なアイディアなのです。
2015年11月10日 渡邊大志
コルゲートパイプに吹き付けられたウレタンフォームと、メタルの群の隙間から南面を見る
正橋さんの家の正面は南に向いている。正橋さんがおいおいもっとしっかりとしたモノに換えようと話していた入り口の円環状に曲げられた農業用パイプに取り付けたPOビニルによってサンルームができていたし、正面のブロック状に積み上げられた単板ガラスの立面からは十分に太陽の光を内部へと運ぶ。冬を主として考えられた家なのかと感じた。コルゲートパイプによって楕円の輪郭を付けられたこの家は光が一方向に侵入してくるのが印象的であった。方向が定められている故に侵入面、つまり南面側の外の樹々の微小な動き(風の動き)が全て光と影の明滅となって内部に現れる。けれどもそのざわめきはほとんど内側からは聞こえない。コルゲートパイプ表面に吹き付けられたウレタンフォームの吸音効果もあるだろうと思う。このウレタンフォームによって内側は洞穴状に、特に雪山の洞穴状になっている。パンチングメタルは角棒の、光の当たらない側の隅に留め付けられ、周囲のコルゲートとの接触部分は極めて少なく内部空間に浮遊しているかのように光を取り込む南面のガラス面と対峙している。この家は外郭と顔(正面)と、内側がそんな微妙な距離を保っているわけだが、そうした家の細部にいたるまでが、実に自然なのであった。「自然」という言葉は追い追い、より適切な表現を見つけなければならないのだが、鶴見俊輔が『家の神』(淡交社)において「モノとしての家の神」であったり「安全性の象徴」と言ったような、菅平の山、高原の風景と、開拓者の家の窓、窓によって取り込まれた外の光、写真に写っているような鉄の柱にくっ付いた磁石や、パンチングメタルにネジで止められた時計(裏側のネジも含めて)などを含めたさまざまなモノ全てが家全体のかまえに関わっているのではないか、という感慨である。
2015年10月26日 佐藤研吾
(暖炉室の入口側上部の鉄の室内柵)
開拓者の家の中心にある暖炉室の入口側上部の鉄の室内柵について。
暖炉室はコンクリートで一部を囲われており、大きなストーブが中心に置かれている。今は入り口手前の階段下に設置されたもうひとつの小さめのストーブとの使い分けをしているそうだ。階段との間に据えられているのがこの鉄造形である。段々状にブロックを組積造のごとく積み上げたコンクリートの壁はもちろん施工性を考えた結果であろうが、その上に埋め込まれたこの鉄造形も細かい部材を溶接によって組み合わせたものであることがわかる。見れば全てアングル材、フラットバー、主軸はH鋼の組み合わせである。角のアール部分は丁寧にガス切断をしたと思われる焦げ跡が残っている。部材の接合部はかなり念入りな溶接をしている。(全溶接によって完全に一体なものになっている部分も多い)
正橋さんがどうやって作ったか、どのような道具を使って何を考えたのか、がほぼ全て分かってしまう、教えてくれる建築である。今春の星の子愛児園の現場で、幾人かの溶接工と大工の作業をほぼ毎日実見していたので、そんな彼らの現場での動きを、この生きた遺跡のように菅平にある開拓者の家の各部分から改めて思い出し、重ねて眺めることができた。写真などでは分からない現場の肌感ではある。
2015年10月2日 佐藤研吾
(正橋さんの薪倉庫小屋と犬)
正橋さんの家ではもうあと2週間程すれば、ストーブで薪を焚き始めるらしい。この薪倉庫小屋一杯のマキの山は一冬ですぐに使い切ってしまうそうだ。一日に手前のビールケース2箱分程度を消費する。倉庫のシェルターとなっているビニールハウスのビニールは10年程前から変わらずに使っていると聞いた。農業用ビニールではなくPOフィルム(ポリオレフィン系特殊フィルム)を張っている。そんなにまで耐久性・耐候性が在る素材だとは思っていなかった。GAYAの事務所の開口部でも同様のものを使用しているが、触った感じだと正橋さんのものよりもおそらく若干(0.05mmくらい)薄い。
薪倉庫の中には犬も暮らしている。犬小屋は少し年季の入ったもので、犬が今年の2月に生まれた若者だと言うからおそらく先代のモノのお下がりかと思われる。もちろん手作りのものだ。ベニヤで手早く作ったものなのであろう、けれども写真には収まっていないがその出入口は犬の姿に合わせて曲線で開口が開けられていて、犬はその穴を出たり入ったり素早くこなしていた。正橋さんの家には、そんな工夫の手つきが当然だが随所に現れている。
2015年9月30日 佐藤研吾
(オリジナルの油圧式マキ割りマシンを使って薪を割る正橋孝一さん)
写真は菅平の開拓者の家の正橋孝一さんのオリジナルのエンジン式油圧マキ割り機械である。エンジン、オイルタンクから油圧プレス部、刃先までの全てを正橋さん自身が機構を設計し、部品パーツをそれぞれ注文して組み立てたそうだ。エンジン、プレス機と接続ゴムパイプは既製品を取り寄せ、オイルタンクは制作注文のようである。(丸太を割る鋭い鉄片部品は自作なのかもしれない。)
これがあれば丸太一山を一日で割ることができるそうだ。
正橋さんからは、加えて家の内部全面に吹き付けられた断熱材(発砲ウレタン)についても教わった。素人でも簡単に施工できる小ボトルのモノがインターネットで入手が可能だという。(エービーシー商会の「インサルパックHYPER(ハイパー)#30」を教えてもらった。http://www.insulpak.net/product/insulpak/hyper30.html)
正橋さんは近いうちに風呂場の壁をそれで修繕するらしい。
東京の、スタジオGAYAの事務所の壁も冬に備え、早速これを使って隙間埋めを試みたいと思う。
2015年9月29日 佐藤研吾
2015年9月15日 石山修武
2015年9月14日 石山修武
世田谷村の鉄骨の構造体は気仙沼の造船所で製作してもらいました。アコーディオンドアと同じように、建物の躯体もまた住宅を構成する部品の一つです。
これを安価に、しかも建築技術よりも余程高度な技術で製作された部品を手にいれるための解答が、造船屋さんに依頼することでした。鉄骨は屋外むき出しの部分が大半ですから、当然その防錆が必要になります。
造船屋さんに作ってもらった構造体は、建築技術では扱いが困難な厚さの鉄板や無垢の鉄骨が自由自在に曲げられたり、溶接されたりして組み合わさって出来ています。ですから、それらを被覆する防錆塗料もまた、新建材の薄っぺらい塗料では能力不足であることが予測されました。そこで、約10年前の建設時では、光明丹という日本の伝統的な(例えば厳島神社で使われている)紅朱色した防錆塗料を塗布しました。
日本全体の気候区分が昔と変化している中で、東京も例外ではありません。スコールのような風雨も稀ではなくなったこの10年で、長い年月を経た伝統建築に用いた光明丹ですら紅朱色がやや褪色してその一部が剥げてきています。
そこで、再塗装しようということになったのですが、一つ問題がありました。実は、光明丹はその成分に鉛を多く含んでおり、人体への影響から現在では製造が中止されているのです。
光明丹と同等以上の性能を持ち、鉛フリーの防錆塗料を探さなければなりません。建築用途以外の防錆塗料を検討したところ、船舶用と軍用塗料のいくつかが候補に挙がりました。早速、製造メーカー各社に連絡をとり、週明けに直接話を聞いてみることにしました。塗料一つとっても、やはり最後は直接メーカーの顔を見て、実物を確認しないと確信が持てないのはネット時代でも変わりありません。
2015年9月12日 渡邊大志
開放系技術による世田谷村第四期工事の経過報告
改築における各部分の積算について
材工(又は置くのみ+運搬)について
開放系技術を人々に解りやすく説明すると、始まりに先ず誰でも見積り(積算)がとれるようにすることです。
そして出来るだけ専門職(工務店、建設会社)に対する見積り額と普通の生活者に対する見積り額が同じようにすることが大事です。
コンピュータによる商取引が次第に広まり、できるだけコンピュータを使用して商品の値段を誰でもが知ることができるようにするのが開放系技術の第一歩です。つまり、大半の建築の部材、部品のメーカーから工場出荷価格を知るように努力することです。
更に、この技術=生活の知恵、に慣れて熟達すればメーカー(工場)の内部に入り込み、かなりの商品(物品)の裸形の値段を知ることも可能でしょう。
大仰なことを言いますが、一機250億円かかる(通り相場)人工衛星をアメリカの消費者たちが協力して当時の秋葉原マーケットで部品を買い求めたりして10分の1の値段で人工衛星を作ってしまった事例もあるのです。
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家を新築したり、リフォームしたいと思ったとき、本当の値段を知るためにはまずは部品リストを作ることから始めましょう。部品リストとは、家や部屋を構成している柱や壁、そして現代住宅には不可欠の設備機器といった部品に一度ばらして、それをリスト化したものです。
もちろん最初は知識もないわけですから、初めから完璧な部品リストを作りようもありません。近いうちに世田谷村第四期工事の部品リストも公開したいと思いますが、まずは便器やパネル、照明器具でも何でも良いですから目につくものから必要そうなものを箇条書きに書き出してみて下さい。考えを詰めていくうちに必要なものが出てきたら、随時リストに加えていけば構いません。すると、リストが一通り出来上がった頃には、実は実際の設計とともに積算ができていることになるのです。その詳細はこれから少しずつお伝えしていきたいと思います。
例えば、世田谷村の改築では2階の水廻りをほとんどやりかえなければなりません。その中で、住まい手の希望でトイレの壁にはアコーディングドアを転用することを検討しています。
手元に箇条書きしたリストにアコーディングドアと書いてから、その隣にメーカー、品番、価格などの欄を設けていきます。ネットでざっと検索してわからないところは電話で聞きながらカタログを取り寄せます。ここでは国内三社のメーカーを調べてみると、アコーディングドアにも色々な種類の機構がありました。
クローザライト方式と呼ばれる金属製の蛇腹機構を両側から生地で挟んだものや、オートクローザ方式やワンタッチ方式と呼ばれる特に高齢者の生活を想定したものなどメーカーも充実してきています。価格は定価で6万8千円から11万くらいの幅があります。ここで定価というのは、販売代理店に対するメーカーの販売希望価格のことを指します。つまり、そこには物そのもの値段に仲介する業者のマージンなどのコストが上乗せされているわけです。ということは、それぞれの業者には定価よりも安い卸ろし値で当然販売されています。これをネット価格(流通価格)と呼びます。
開放系技術による見積もりは、この定価の価格をどれだけ物そのものの値段であるネット価格に近づけて手元に購入できるか、ということです。
お施主さんにアコーディオンドアの機構と価格の関係を一通りご説明しました。色々付属的な機構が付いていると故障して使えなくなってしまう体験もこれまであったことから、ここはクローザライト方式のみのできるだけシンプルなものにしておこうということになりました。
2015年9月9日 渡邊大志