オリンピック会場は、国威発揚をねらう首都[20世紀型]でなく
世界からアスリートが集う地域の拠点[21世紀型]へ
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2006 年 4 月 24 日
福岡・九州オリンピック招致推進委員会
制作総指揮室
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1.2016 年にはオリンピックを初心に戻そう
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国家や民族の枠を超えて、世界の片隅にあるひとつの都市に全世界からアスリートが集まる。みずからの肉体の限界に挑戦しながら、お互いの技を競う。これがオリンピックの精神だと私たちは理解しています。
ホストシティとしての福岡市が中心となり、連帯の輪を九州さらに東シナ海をめぐる東アジアコモンハウスへとひろげながら、オリンピックを初心にもどすような会場を用意します。
ここには地勢の利があります。先例がないほどにコンパクトでありながら、都市活動をさまたげることなく、安全が確保され、自然に溶けこんだ会場です。
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2.21世紀型オリンピックは博多湾からはじまります
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博多湾に主要競技会場の80%以上をあつめます。南北5キロ東西15キロの湾には、たとえば陸上、馬術、ビーチバレー、セーリングなどまったく異なるタイプの競技会場を収めたうえで、十分に自然環境を満喫できるスケール感があります。
ここに3 つのクラスター(束ねられた複数の会場)を配置します。相互の交通はバスおよびボートでわずか20 分。これほど短い時間距離の総合会場が設営できるのは、海をクラスターが取りかこんでいるためです。場所の恩恵です。
アスリートのためにのみ組みたてられた主会場。これこそが21世紀型オリンピックの舞台です。
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3.〈海〉をめぐるように配置された競技会場を提案します
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博多湾全域を主会場に設定することは、ひとつの海をめぐってオリンピック競技がなされることを意味します。現在、博多湾は南側が広く市街地に接し、北から西側にかけて自然が手つかずのまま残っています。野外で行われる競技会場の多くはこの自然の中に配置されます。
海の中道はすでに自然を生かした公園として整備されていますが、その環境に配慮してつくられる施設は、将来ともスポーツが楽しめる公園として保持されます。西側の湾内にただひとつ浮かぶ能古島の周辺海域がセーリング。多島海のような景観の中で競技が行われます。
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4.陸(市街地)と海(北上交通)の境界に主クラスターを
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メインスタジアム、室内競技の大部分がメインクラスターに集められます。同時にここには大会本部、プレスセンター、選手村、更にはメディアの宿泊施設も用意されています。ひとつのオリンピック都市が出現するわけです。建築施設には可変性、補設性など日本の伝統的建築の手法に基づいた工夫がなされ、全体がコンパクトに集約されます。既存の建築型の概念を超えた建物の出現を期待して、PALACE・ARENA・PARK・VILLAGEと呼ぶことにしました。
PALACE :メインスタジアム、各種競技場、プレスセンターなどを含む複合施設
ARENA :多目的体育館、オリンピックセンター、スポーツ医科学ネットワークなど
PARK :水面を利用する競技、陸上の練習場など
VILLAGE :オリンピック選手村
PIER :巨大催事船の停泊
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5.ふたつの特徴:巨大催事船とメディアシステムの編成
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メインクラスターのPIERには、多数の巨大催事船の停泊を予定しています。そのうちの何隻かは、東シナ海沿岸の都市を航海しながら、時差調整をしつつ練習を続行する選手たちを、ゆっくりとVILLAGEへと運びます。停泊してからは、セキュリティの充分に確保されたメディア関係者の宿泊に充当されます。
報道陣は選手の数を上回って世界から集まることが予想されますが、実際に会場の臨場感を味わえるのは10 万人単位、放送やインターネットなどのメディアを通じてモニターを見守る数は10 億人単位、当然ながらPALACEの競技会場は、テレビスタジオの様相を呈することになるでしょう。
アスリートはこのときオリンピック劇場の主役になっています。
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6.保持可能性(サステイナビリティ)を考慮した開発方式
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福岡市は、現在物流基地として利用されている須崎埠頭一帯を都市再開発方式を用いて整備し、ここに民間参加によってオリンピック会場を整備する構想を立てました。民間主体の事業を推進するためには、その施設が将来有効に活用されていくことが必須条件です。
そこで、施設はオリンピック後に別の使われ方も可能になるような工夫が求められます。何よりも民間が参加するための魅力を持った施設でなければなりません。PALACE、VILLAGE、ARENA、PARKと名づけられたのは、開発の単位を示しています。それぞれに異なった開発方式が採用されるでしょう。
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7.未来の大コンベンション拠点として博多湾を水上都市に再編する
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メインクラスターとしての須崎埠頭でのオリンピック施設の建設は、市街地を海に向かって開くことになるでしょう。それを大コンベンション施設として活用すれば、今全世界に求められている数万人規模の集会、会議等の催事が可能になります。そのとき、〈海〉が構想を展開する鍵になるでしょう。
巨大催事船もふたたび訪れます。同時に湾岸一帯に散在している諸施設に加えて、リゾートや観光施設も付加され、湾内を水上ボートが往来します。自然環境を保持したままに、博多湾全域が現在の市街地の活動に連動します。
こうして、博多・福岡という2 つの歴史的な環に湾というあらたな水上の環が加わった未来の福岡の姿があらわれてくるのです。
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オリンピックを博多湾に
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> 福岡オリンピック計画案
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